相手の力を利用して介助を行うことを提唱し「義足の理学療法士」として知られる福辺節子さん(65)が、「マンガでわかる無理をしない介護」を出版されました。
適切な支え方と声かけが特徴の「福辺流」は、力がない女性でも体の大きな男性を介助できると評判を集めています。
たとえば、相手に椅子から立ってもらう場合は、両手をもって腕を引き、前に誘導。
重心が移動したらこちらの腕を支えにしてもらい、立ち上がるのを待つ。
体を上に持ち上げようとしないことがコツだという。
更に重要なのが声かけ。
特に認知症の人は、いきなり体に触れられたり、腕を引っ張られたりすると驚き、暴れてけがをする危険もあります。
介助の前には必ず「起きていただいていいですか」などと目を見ながら声をかけ、一呼吸置くことで、心の準備をしてもらうという。
「きちんと声かけをすれば、相手の動きを引き出すことができる。言葉でのコミュニケーションが難しい方でも、こちらの思いは相手に届きます」と福辺さんは断言しています。
理学療法士になって約35年。
リハビリ施設での勤務などを通じて実践を積み重ね、医療・介護職や一般の人を対象にセミナーを開いてきたそうです。
原点は大学3年のときに経験した交通事故。
同乗していた車がスリップして崖下約90メートルに転落し、左下肢を失ったのだという。
義足となった自分が、理学療法士になるための専門学校に通いだしてリハビリの実習をしていると、いいあんばいに力を抜けた介助ができたのだという。
両足で踏ん張ることができず、バランスがとりづらいことが、かえって良かったのだそうです。
福辺流の極意について福辺さんは「介助はする側とされる側で分けてはうまくいかない。お互いが平等な立場で協力することです」と話しています。
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