高齢になると、体の機能が低下するします。
特にアルツハイマー型認知症の場合は初期から嗅覚の異常が見られ、認知症の重度化とともに嗅覚も低下するとされています。
つまり、においに対して鈍感になったら、認知症の注意信号ともいえますね。
そんな中、よい香りで嗅覚を刺激し、認知症や介護予防、改善にも役立てようというアロマセラピーが注目されています。
アロマセラピーというと、日本では美容やおしゃれ雑貨のイメージが強いかもしれませんが、よい香りは人の不安を和らげ、痛みや苦しみを緩和するなどの効果が、多くの医療研究者によって明らかになっています。
更に最近では、レモングラスの香りの認知症改善・予防効果を検証し、話題になっているのだそうです。
多様な香りと脳の活性化について研究した結果、レモングラスが記憶を司る前頭葉を活性化することが判明したという。
他にも、うつや更年期障害、睡眠障害、生活習慣病などの治療としても期待されているそうです。
香りは、気分だけでなく全身に作用します。
香りをかぐと、鼻から大脳辺縁系を経て、記憶学習を司る視床下部、自律神経、免疫系、内分泌系を司る視床下部に直接働くとされています。
また、吸い込んだ香りは肺へ、マッサージなどで皮膚に塗布したオイルの香り成分は皮膚から、いずれも血液にのって全身の臓器を巡っていきます。
良い香りをかぐと、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンやエンドルフィンが分泌され、心が落ち着いて快感を覚え、沈んだ気分が高揚したり痛みを和らげたりします。
香りの効用は、たとえばコーヒーやみそ汁のだしのいいにおいに心が癒されるようなこともその1つですが、セラピー(療法)として行われるアロマセラピーには精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれる天然の揮発性油が使われます。
精油は芳香のある植物の葉、樹木、種子、果皮、樹脂などから抽出されるもので、日本では約120~140種類もの精油が販売されています。
それぞれの植物に含まれる成分には、抗菌、免疫向上、鎮静、鎮咳、静脈強壮、肝臓強壮、腎機能促進、蠕動運動促進、血流増加、催眠…と、特有の作用があります。
さらに、精油の成分を取り入れるために、いろいろな方法で香りを拡散させて浴びる芳香浴や、お湯に入れて行う入浴や部分浴、また植物油に精油をブレンドしたものを皮膚に塗布してトリートメント(マッサージ)を行う方法もあります。
しかし、メディカルアロマセラピーでは、患者さんの病気や症状に応じて精油を選びますが、薬とは違って『この症状を治すためにはこれ』といった明確なものではありません。
むしろ大切なことは、その人が好きな香りであること、なんだそう。
香りには嗜好性があります。
例えば、一般的にラベンダーには鎮静作用があるといわれますが、ラベンダーの香りが好きではない人に対して、その鎮静作用は働かないのだそう。
比較的多くの人に好まれ、使いやすいものはオレンジ・スイート、真正ラベンダー、ローズウッド、ヒノキ(国産)など。
認知症予防・改善の効果が検証されたレモングラスも試してみたいものです!
でも、施設だと大勢の人がいるから、全員が“良い香り”と感じるのも実は難しいのかな!?
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