介護施設に入居している高齢者が働き手となり、自身の介護費用の負担を軽減する取り組みを、奈良県内の企業が本格化させる!?
県内外で介護施設や保育施設を運営する「リールステージ」(奈良市)の関連企業「あをに工房」が外部から作業を受託、施設の入居者に割り当てるもので、同社は「高齢者にとって就労が新しい選択肢の一つになれば」と期待を込めているそうです。
奈良市のデイサービス付き高齢者住宅「リールデイサービス宝来」で4月中旬、入居者に軽作業を体験してもらう実験を行っています。
81~90歳の女性3人が挑戦したのは、吉野産ヒノキのおがくずで作った入浴剤の袋詰め作業で、当初は「できるかな」と不安を口にしていたが徐々に慣れ、たこ糸で巾着袋の口を縛る作業を手際よくこなしたそうです。
軽い認知症を抱える女性(81)は「手先を動かす作業は好きで、慣れると難しくなかった。お役に立てるのであれば続けることができそう」と前向きだったようです。
入浴剤やせっけんなどを製造販売する「チアフル」(奈良市)の社長は作業に協力し「商品として合格の域に達している。皆さんが工夫して作業しているのが印象的だった」と話していたそうです。
厚生労働省によると、介護付き有料老人ホームを含む「特定施設入居者生活介護」(短期利用以外)の平均費用は月額約22万円(昨年4月現在)なのだそうです。
一方、厚生年金の受給額は月額平均14万円(昨年12月現在)といい、入居者が貯金を切り崩したり、家族が負担したりするケースが少なくないとされています。
リールステージの専務は「施設利用者は家族に経済的負担をかけたくないと思っている方が多い。この現状を変えたかった」と語っています。
あをに工房ではチアフルから作業を受託し、リールステージが運営する施設の入居者約10人が今月末から作業を始める予定で、入居者は要介護度に合わせて、製品加工や農業、パッチワークなど手先を使う軽作業に取り組み、報酬を介護費用の一部に充てているのだそうです。
協力企業を増やすだけでなく、商品の持続的な生産と品質管理をいかにして可能にするかといった課題はあるようですが、「高齢者にとって、社会の一員として必要とされることが生きがいにもなる。全国にこの仕組みを広げ、福祉の世界を変えていきたい」としています。
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