今年5月に成立し、2018年4月に施行される「改正介護保険法」は、介護が必要な高齢者の「自立支援」や「要介護状態の重度化防止」を目玉としています。
介護保険利用者の「自立支援」という名目での「インセンティブ制度」の導入について、懸念の声も上がっています。
介護保険は、“利用者の要介護度が下がると事業者の収入が減る”というジレンマを背負っています。
つまり、“よくならないほうが儲かる”という事ですね。
その為、国は『自立支援を促す』というフレーズを掲げ、利用者の要介護度を下げた自治体や事業者には別途ボーナス(介護報酬の加算)を出すという制度を2018年4月から導入することにしたのです。
比較的安い料金で利用できる特別養護老人ホームは基本的に要介護度3以上の方しか入居できません。
現在要介護度3の人でも、この法改正で来年4月以降に要介護度2に下げられれば希望は叶わなくなってしまいます。
特養の順番待ちをしている“待機老人”は現在50万人以上とされています。
しかし、要介護度1~2の人は、特養に入りたくてもそもそも入居資格がないので“待機老人”には数えられていません。
その為、改正法によって数字上では“待機老人を減少させた”という成果が出てしまう可能性が高いようです。
要介護度1~2で介護サービスを利用しながら一人暮らしをする高齢者は少なくはありません。
独居の高齢者で、要介護度を実態より軽く判定されると、必要な介護サービスを受けられなくなる可能性もあります。
その結果、例えばデイサービスに行けなくなって閉じこもりがちになり認知症が急激に進む、なんて事も考えられると、専門家は懸念しているようです。
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