老人ホームで介護職員として勤務中、入所者のカテーテルを抜き取り負傷させたとして傷害罪に問われ、その後に無罪が確定した佐賀県鹿島市の女性(34)が「施設側に犯人扱いされた」として適応障害を発症し、労働基準監督署に労災と認定されていたそうです。
女性の代理人の吉田俊介弁護士によると、認定は4月23日付。
女性が同県嬉野市の施設で働いていた2014年12月、入所者の男性(当時95歳)の胃ろうのカテーテルが抜けたという。
女性は施設側に関与を疑われて15年2月に自宅待機となり、翌月に適応障害を発症したのだそう。
女性は男性に全治2週間の胃粘膜障害を起こさせたとして、5月に同県警に傷害容疑で逮捕され、その後起訴。
女性は公判で無罪を主張。
佐賀地裁は17年12月、「女性が引き抜いたと認定するには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡しています。
女性は逮捕や約1年間の勾留で症状が悪化し、無罪確定後もうつ状態で働くことができなくなったという。
女性は18年10月、「施設側に犯人扱いされ、自宅待機を命じられたことが適応障害のきっかけ」と主張し、同県の武雄労働基準監督署に労災を申請。
労基署は自宅待機と適応障害の因果関係を認めたという。
吉田弁護士は「類似事案が少ない中、本件の労災を認めたのは画期的な判断。使用者側に誤った疑いをかけられて被害を受けた労働者は、労災という手段で責任を問えるということが広く認知されるきっかけになるのではないか」と話しています。
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