認知症の進行を遅らせる効果がある“抗認知症薬”の服用により患者の暴力や暴言がひどくなったと悩む介護者は少なくないのだそうで。
厚生労働省は昨年、抗認知症薬の投与を規定量未満に減らす事を認めましたが、勿論その結果認知症が進行する可能性もあります。
ある男性(70)は4年前にアルツハイマー型認知症と診断された妻(69)を介護していますが、おとなしい性格だった妻が、抗認知症薬の服用を始めてから感情が異常に高ぶりやすくなったとして抗認知症薬の量を半分に減らしてもらったそう。
男性への暴力だけに留まらず、道端で談笑している近所の人たちに「うるさい」等と暴言を吐いたりと感情の高ぶりは次第に激しくなっていたとの事で、主治医に相談したところ、薬を減らすよう勧められ減薬に踏み切ったのだそう。
男性は「蹴ったり殴ったりはおさまらないが、怒らなくなったかな」と話されています。
国内で承認されている抗認知症薬は現在4種類あり、脳の神経伝達を維持したり、神経細胞の損傷を防いだりする事で、物忘れなど認知症の症状の進行を遅らせるとする物です。
ですが、脳の働きが活発になる事で意欲をつかさどる部分が活性化され、暴力や暴言、妄想、徘徊等を増幅させてしまう事があるという。
医師は患者の日常生活の様子を継続して見られないので、薬の減量や中止を決めるのは最終的に本人や家族の判断となります。
家族の接し方が、患者の暴言や暴力を引き起こしている場合もある。
ある男性(77)は認知症の妻(71)を介護していたが、妻の徘徊や暴力、暴言が酷かった為、主治医に相談すると「薬が合わないのかも」と言われ、一カ月中止。
すると、妻の攻撃性が消えて機嫌が良くなったそうで、当初は一度中止した後に半量を服用する予定だったが、思い切って薬をやめたのだそう。
同時に、妻への接し方も変えたそう。
会話の中で妻の勘違いをいちいち指摘し、言い争うことが多かったが、やりたいようにやらせることにしたところ、「にこにこして、妻をおだてるようにすると、おだやかになった」そう。
認知症患者の心の動きや行動に影響する要素は多様で、症状を把握するためには細かく患者を観察することが必要となります。
感情が不安定で暴力や暴言に発展する場合は、いつ、だれが対象なのかなど細部を見るほか、日ごろの食事量や食べ方などにも気を配り、食欲不振になっていないかも確認する必要がありますね。
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